あとがき

 ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。
 かなり遅くなりましたが、ようやく完結です。
 今回の作品は恋愛要素が少なかったぶん、友達や家族について書けていたのではないかと思います。
 
 今さらながら、友達って難しいと思う。お互いに一番の仲良しのつもりでいても隠し事があったり。そしてその隠し事を、別の人には話していたり。
 梨沙ちゃんと明菜さんは全く同じパターン。お互いプログラムで仲を深めた相手に秘密を告白して、親友のことを思い出しては悶々とする。二人の間の誤解が解けたシーンでも思うことは同じで、「どうして分かってあげられなかったか」「どうして一番に相談できなかったか」と互いに再び苦しんでいます。
 一作目の考察でも似たようなことを書きましたが、中学生の頃の好きな人や友達に対する気持ちの割合って相当大きい。特に今回の場合は女子校でもあるから、友達が全てとなるタイプの子も当然いるはず。だから勢いで相手のために身を投げ出してしまうこともあると思うんです。

 花井君。……これの種明かしで「はあ?」と思った方もいるでしょう。実際、花井=相澤説はメールでも何度か貰ってましたが誤魔化そうと頑張ってました(笑)見事に最初っから見抜かれていましたが……。
 改めて彼の登場シーンを見ていくと、相澤君っぽさが滲んでいるところが見つかるかもしれません。

 佐倉さん。ただ、「転校生男一人だとなんかばれるよなー」と思ったがために作ったキャラです。しかし気付いてみたら、どうしても薄くなりがちな教官と生徒の絡みを少しばかり濃く見せられてよかった。佐倉さんとヨネ先生の外伝、どんどん書いていきたいですね。
 
 エピローグは時間が前後して分かりにくいところもあったのではないかと反省。
 そして初めて相澤君の家族に焦点をあててみました。
 本編には全く関係ないネタですが、相澤家の子供は由美(よしみ)、祐也(ゆうや)、洋介(ようすけ)で、全員ヤ行はじまりの名前となっています。特に意味はないんですが(笑)

 そしてアナザーストーリー。区切り悪い。脱出シーンで終了が潔くていいんじゃないか。蛇足なんじゃないか。今でも悩んでいるのですが……。
 どちらかというと外伝に近いのですよね。それでも謎の協力者、弘子さんや相澤君の心理状態をエピローグまでで書ききれなかったので追加。
 
 四つの話の題はどれも「someday(=いつか)」。この物語の中で生き残った人物たちにはまだ遠い”いつか”があります。それぞれが望む”いつかの幸せ”がやってくるのか、アナザーストーリーの中では書ききれていません。というよりも、書けなかったと言った方が正確です。

 特に相澤君と香奈さん。それぞれの立場だったらどうするだろう、どうやったらハッピーエンドになるだろうか。考えて悩みました。相澤君の葛藤はもちろん、香奈さんの立場になってもきつい。自分が生きるために犠牲になった人たちを置いて幸せになっていいんだろうか。生き残った人物の苦悩も、時間が経つと共に変わっていくと思うので、そのあたりを想像して書いてみました。
 物語的にはこの二人が完全にくっついたらハッピーエンドなのかもしれません。それでもここは敢えて、あいまいなままで終了させました。なんでかというと私には、当たり前ですが二人のような状況に陥った時の乗り越え方が全く分からないからです。だから「この後は読者さんの想像におまかせ!」的な終わりになってしまいました。
 でも一つだけ言えるのは、過去に縛られていたキャラクターたちが”いつか”を見つめられるようになったことです。状況が状況なだけに単純に幸福な未来が待っているかは分からない。それでも微かな希望を持てるようになったことが進歩の証であって、キャラクターたちのこれからを生きる糧になっていくのだと思います。
 私としては一応ハッピーエンドのつもりですが、どうでしょうか?
 
 タイトル「Blue Heaven」について。
 これはサザンの「BLUE HEAVEN」という曲から拝借しました。二作目は頑張って相澤君にリベンジさせたかったので、歌詞を読んで即決定。ここには乗っけられないのでここから飛んで読んでみて下さい。
 
 最後に、設定貸してくれた友人たちに感謝。おかげさまで女子だけという物語の中で、色々な人間を描くことが出来ました。
 ずいぶん予定より長引いてしまったけれど、見捨てることなく感想下さった方々にお礼を言いたいです。そして、読んで下さった全ての方に感謝します。

Special Thanks...
 可奈/琥珀/壮/ソフィ/たこあし/天丼/流/又又/又又A/まる
(順不同敬称略)
 
 
2005年12月10日 りん
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